働く君に伝えたい「お金」の教養 出口治明著

お金に対する考え方を20代への若者への講義形式でライフネット生命の創業者、出口さんが分かりやすく解説してくれる。

数字、ファクト、ロジックで自分の頭で考える。

この本で出口さんが基本的に伝えたいことは、自分の頭で考える。情報を鵜呑みにしない。一歩立ち止まって考えてみる。そして人生を楽しみなさいということだった。不安は無知から起こる。不安を煽るのはそれで、儲かる人がいるから。

公的機関が出している信用性の高い1次情報、数字、ファクト(事実)を吟味し、ロジック(論理)を組み立てていけば、不必要な不安にかられることはない、と伝えている。

惜しみなく投資。自分が楽しいと思えるものへの。ただし、お金は使える範囲で

そして、歴史(縦軸)と世界(横軸)を使ってマクロで物事を見て、考える癖をつけなさい、と教えてくれる。

歴史から見たら、バブルは異常なことであり、戦後の日本の高度成長はラッキーの産物であり、現在が普通の状態と言える。だから、バブル世代にいい思いをした、バブルおじさんの言うことは全く鵜呑みに出来ない。

人口減少が進み、労働力が減っていくので、やる気さえあれば、仕事を失うことはない、とおっしゃる。

また、お金というものはそもそも使ってこそ、意味をもっていくものであり、健康で働けるのであれば、蛇口から水は出続けるのであるから、大いに自分に投資しなさい、そして蛇口の数を増やす努力をしなさい、ため込んで、水が出なくなるのを心配するのではなく。と教えてくれる。

労働人口は減り、定年制、年功序列、男女差はなくなる

老後の資金を心配するなんて、ナンセンス。人間楽しく働けるなら、その方が健康で長生きできますよ、と語る。

そして、子供にお金を残すなんて争いの元にしかなりませんよ、とも。これは、僕の周りのお年寄りたちを見渡してもそうだ。元気な人たちは、いまだに現役で働いている。働くことで人から必要とされているという実感も得ることができ、かつ、体を使い、人と接することで頭も使う。だからボケない。

そして、労働人口が減ってしまうのだから、女性の社会進出、定年制の廃止、移民の受け入れの3つが起るだろうとも。この本が出たのが3年前、まさに現在その通りに政治は動いている。

 

そして、稼いだお金は

1 財布 日常で使うお金(食費、日用品など、数日間生活できるくらいの金額)

2 投資 なくなってもいいお金(プレゼント、株、習い事など、自由、好きなこと)

3 預金 流動性の高いお金(1の補充と貯蓄。困った時にすぐにひきだせるのがミソ)

この3つに分けて使う。

特に若いうちは投資に使いなさいよ、その方がお金が出る蛇口が増えますよ。とおっしゃる。

まさにおっしゃる通り。反論の余地なし、と思った。そしてもっと若いうちにこの本を読んでおけば良かった、とちょっと後悔した。でも、出口さんは他の本で、「今の自分が一番若い」と言っていた。だから、今からでも自分に投資しよう、と誓った。

この他にも具体的な投資信託の選び方、保険の選び方など、より実践的なことも教えてくれる。

ただ、恐らくこの本で出口さんが一番伝えたい言葉はこれだと思う。

お金の使い方を考えることは、自分が何を楽しいと思い何を大切にし、どんな人間になりたいかを自問自答すること。

出口さんは最後にこの本を読んでも、鵜呑みにしないで自分で確かめて下さいね、と付け加えたが、おれは出口さんを信じます。これは直感です。