知的生産術 出口治明著

日本は製造業主体からサービス業主体へと変わった。

そして、労働人口は減少していく。だから、今までどおりの長時間労働を強いた工場モデルではなく、より短時間でアイデアを出し生産性を上げて行かなくてはいけない。

その為には自分の頭で、腹落ちするまで考えぬく訓練が必要。そもそも人間の脳はフル回転には1回2時間が限度。休憩をはさんで1日3~4回が限度だそうだ。だから長時間労働より、短時間で集中というのが、理にかなっている。

そして「メシ、風呂、寝る」から「人、本、旅」に変えて行きましょうと出口さんは語る。

この本を自分なりにインプットとアウトプットに分けてまとめてみた。

●インプット

良いアイデアを出すためには、良質なインプットが必要。それには、人に会う、本を読む、たくさん旅に出ることが大事。

●人… 同じような人と会わない。いつも、自分と気の合うような人とばかり付き合っていると脳が刺激されず、新しいアイデアは生まれにくい。意外性のある情報の交換が新しい価値を産む。(アウトプットにも連動している)

●本… 食わず嫌いせず、面白いと思った本、漫画を読む。出口さんは新聞の書評欄で面白そうだと思った本、そして古典が無条件に面白いですよ、と薦める。

●旅… 現場を知るということ。実際に足を運び、五感で体感するということ。

毎朝新聞を読むこと。出口さんは毎朝3紙を読んで、取り上げる記事の大きさの違いから、なぜ?が生まれ、脳が刺激されるそうだ。

インターネットは辞書代わりに使う。分からない事を検索。

そして体系的にものごとを掴むために、時間軸、空間軸の広い本を使う。

分からない事はそのままにしないで、腹落ちするまで調べる。そして、正確な数字、ファクトを得る。

 

●アウトプット

社会常識を疑い根底から考える。

1 無減代を考える…仕事をなくすこと。仕事を減らすこと。使いまわしたり代用すること

2 なぜを3回繰り返す…誰も疑わない事を「なぜ」「なぜ」「なぜ」と腹落ちするまで深く考えなおし、物事の原点を捕らえる。幹、本質を捕らえる。

3 枠や制約のなかで考える…制限時間を設けて短期集中で考える。

4 数字(相互検討可能なデータ)、ファクト(データに関連する事項や過去に起こった事実)に基づいてロジック(理論)を組み立てる。

5 考えても仕方ないことは考えない…長々考えるのは時間の無駄。

 

腹落ちしたことを自分で言語化

1 人に話す 

2 文章に書いて人に見せる。

これにより、自分の考えが整理される。そして、より深く記憶される。

 

●影響力=アウトプット×スピード

人間にとってもっとも貴重な資源は時間。

1週間後に100点の仕事をするより70点でいいから、明日提出する方が、相手に与える影響力は大きくなる。

 

●マイルールを作り思考を省力化する。

・毎朝新聞を読む、就寝前1時間は本を読むなど、ルーティンを作り習慣化してしまう。

ただし、これは腹落ちするまで考えた上でマイルールとし、例外は認めない。

 

感想

 

出口さんは改めて、時間を大切にしている人だな、と感じた。

そのためにはスピードを重視し、仕事は最小限に。そして残りは「旅、人、本」で人生を楽しく過ごす。結果としてそれは仕事の効率化にもつながる。

この他にも「明るく、楽しく、元気よく」「正直であること」など、出口さんが人生で大切にしていることが書かれていて、いつものように晴れ晴れとした読後感が得れた。