読書感想『大往生したければ医療と関わるな』

もし、繁殖の時期が終わったのなら…

無駄に死に抗わず、老いと病を受けいれ、緩やかな死を迎えようという内容だった。

 

自分は職業柄、死を意識することが多く、老人ホームにもお迎えに行くし、終末医療系の病院にもよく行く。

正直に言って、そういったところで会うご老人というのは生き生きとされている方というのは少ない。むしろ生かされている、という方がほとんどだ。

そういった光景を見て、医療や介護のあり方というのはどうなんだろう、という疑問を抱いていた。ご本人たちのため、というよりは、世間体であったり、お金の為だったりする部分があるのではないかと…

この本を読んで、こういった疑問が晴れていった。やはり医療というのは治すのが役目である以上、老いからくる衰えさえも病気として、必死に治療してしまう。結果として薬漬けにされたり、延命治療を施されたりしてしまう。それは病院側のお金の都合も多々あると。

そういった延命治療を避けるためにも、普段から死について考え、いかに生き、いかに死んでいきたいのか、自分の中で回答を見つけ、家族にもそれを共有していくこと。それは常に変わっていくものなので、その都度、軌道修正していくこと。意思表示不能時の「事前指示書」を書いておくこと。その中で病気や事故などで昏睡や植物状態の時、認知症になったときにどんな医療サービスを受けたいのか、受けたくないのかを表明しておくことの重要性。それをかかりつけ医や家族、できます知人に立ち会ってもらい理解しておいてもらう。こういった事前準備が必要であるそうだらしい。

自分は幸いにも、普段から、あまり病院にお世話になることがなく、薬を飲むこともない。

なるべく医療の世話になりたくないという希望もある。

子どもたちも大分大きくなってきているので、老いからくる衰えや、病気に無理やり抗うつもりもない。

葉が落ちるように自然のままに朽ちていければいいなあ、と思う。