中村文則のデヒュー作、銃を読んだ。
心臓音のような独特の文体に引き込まれてしまう。
中毒、ドラッグみたいな作品をかく人。
偶然に銃を拾った男のはなし。
銃を拾ったときから人を撃つまでの過程。
それを、ひたすら主人公目線で淡々と描いていく。
一見、
とも思うがナルシスチックなところはない。
主人公の心のなかを淡々と描いているが、実際の行動と過去、
川原で死んでいる男をみつけ拳銃を拾う - 大学に通っている
勉強はよくできる - たばこをよく吸う
ケイスケというナンパ友達がいる - 普通の顔のセフレがいる
両親とは血の繋がりがない - 施設にいたことがある
実の父親が入院していて死にそうである。そこに訪ねていく ヨシカワユウコという可愛い子が気になっている となりのアパートの女が息子を虐待している - 刑事がアパートに訪ねてくる
虐待している母親を尾行する - 猫を拳銃でうつ
電車でマナーのない男を撃つ
こうしてみると、なかなかに数奇な運命。
いい位置にいる!
序盤戦は淡々としすぎて、いちいち細かい心理描写にイライラした。
一向に話の進まないスピード感に。
もしも、腹のたつ人間がいて、そのときに銃があったら‥
誰もが思う願望からはじまってるのでは
その妄想を徹底的にディティールにこだわって描いた。
共感が持てるのは、この男が殺したいと思う相手は、誰もがイヤだなと思う人物だというところだ。
児童虐待をする親。
電車で迷惑行為をする輩。
と、至って真面目な正義感である。
知性の高い老獪さを感じる。
独特。