十二夜 小田島雄志訳

船が難破して生き別れた双子の兄妹が、辿り着いた国イリリアで引き起こす、『騙し合い』をテーマにしたドタバタ喜劇。

「実にみごとなできばえです、神様がお造りになったまま手を加えていないとすれば」ヴァイオラ

自分の素顔をヴェールを取って見せたオリヴィアに対してのセリフ。女性に対しての粋な褒め言葉。

「目ばかりものを言って、舌は満足に動かず、ことばもとりとめもなくとぎれとぎれだった」
「このもつれた糸は私の手にあまるわ。ああ、時よ、おまえの手にまかせるわ、これを解きほぐすのは」ヴァイオラ

オーシーノ公爵の恋の懸け橋として訪ねたはずのオリヴィアが男装をした自分に惚れてしまって戸惑うヴァイオラ。心理学では人間の感情を読むのに言葉より、表情を重要視するという。心理学などなかったこの時代にシェークスピアはそれを分かっていた。

「いよう、おそろいだね、馬と鹿とが」道化

粋なジョーク

「女とはバラの花、その美しさははかないいのちだ、散っていくのも一瞬、咲いたか咲かないうちだ」公爵

女性が聞いたら怒りそうなセリフだが、ビジュアル的な女性の美しさの儚さを表現している。

「だってさ、友だちはおれをほめあげてばかにするが、敵は正直に馬鹿だと言ってくれるんでね。つまり敵によっておのれを知り、友だちによっておのれを欺くってわけだ」道化

まさに真実。イエスマンばかりに囲まれていることの危うさを説いている。

全体的に突拍子のない展開が続き、笑いを常に意識している。この男装したり、女装したりの相手に惚れてしまうという、パターンはその後の映画、マンガなども含めた色々なドラマで見受けられる。そして、鉄板で面白く笑いを産む。