暴力から逃れるための15章 キャヴィン・ディ・ベッカー

「自分の直感を信じよ」

著者 キャヴィン・ディ・ベッカー

暴力問題の専門家。これまで三度にわたり米国大統領の指名を受け、要人警護のための政策立案に携わる。国際的なスターや企業、司法機関に助言をすると同時にドメスティックバイオレンスやストーキングに悩む一般市民の相談にものっている。O・Jシンプソン事件をはじめ、数々の重大事件の裁判で専門家の立場から検察に助言。議会でも暴力犯罪を防止する新しい法律の制定に協力している。
幼少期に日常的に行われる継父の暴力、麻薬中毒の母親、これらの危険から逃れるために直感に頼る危険察知能力を身につける。現在、連邦最高裁判所で脅迫防止に使われているMOSAICTMという危険判定システムは著者が10歳の時にこの過酷な環境の中、発明したシステムだそうだ。
 

『THE GIFT OF FEAR (恐怖の贈り物)』

人間は誤った知識や思い込みにより、直感を見逃しているだけだ。太古の昔、過酷な自然環境のなか生きのび、既にそういった能力が備わっていると説く。
便利な暮らしや必要なことは専門家に聞けばよいといった風潮。それらによって、自分の直感を信用しなくなっている。直感は恐怖や違和感として現れるという。その直感を感じ取り、冷静に対処することが大事だと説く。
あまり意味のない不安に捕らわれることも直感を妨げる原因になるようだ。
『不安は確信のもてない予測によって引き起こされる』
その不安がどこからくるのかという冷静な分析が必要なのだろう。
原題は『THE GIFT OF FEAR (恐怖の贈り物)』。恐怖を忌むべきものではなく、危険を知らせてくれる直感の使者として、ありがたい『贈り物』として受けとりなさい、という作者のメッセージがある。
そして、今、この瞬間の感覚を信じる。
起こるかもしれないことではなく、起こっていることを知覚するのが大事なのだ』と語る。
 

感想

この本を読んで、僕は直感の大事さ。そしてその直感を冷静に分析すること。直感に気付くためには今を大事にすることが必要なのだと学んだ。その為には座禅、ヨガ等の呼吸法が有効なのではないかと感じた。
こどもの暴力問題にも触れており、犯罪者はかなりの確率で、幼少期に受けた親や兄弟からの虐待をうけた経験があるということにも触れている。著者が刑務所での社会学校での公演に行き、受刑者のひとりに尋ねられる。「同じ環境にいたはずなのに俺とお前の違いは何か」と。著者もその答えは出ていないようだ。最近読んだアドラーの本の、『全ての選択は自分自身でしている』という言葉がリンクした。
人はたとえ過酷な環境、ハンディキャップがあっても、それを糧にして大きく翔ぶ事が出来るという事を作者は証明している。