自分の半径5mから日本の未来を考えてみよう会議 出口治明 島澤論 著

 

この本は日本の様々な問題を歴史や世界情勢、データを使って分析し、まずは自分の身近な事から行動を変えて、解決していきましょう、という本である。

 

明治維新鎖国で失われた200年の遅れを取り戻す運動

安土桃山時代は、銀の産出量が豊富で、日本墮GDPの世界シェアはピークだったという。 しかし、江戸時代は鎖国により、国力が閉塞していった。それは一人当たりの石高の減少や、江戸時代の男性の平均身長の低さからも推察できる。

人は交易をすることにより、豊かになる。もともと地域の生態系というのは限りがあり、その場所で得られるものというのは乏しい。しかし、交易を行うことにより、その場所で得られないものが、得れるようになっていく。自由貿易が人間を豊かにしていく。

明治維新というのは鎖国で失われた200年を取り戻す運動だった。

この著書は2016年。2019年現在、米中の貿易摩擦が生じている。お互いに関税をかけあって、自由貿易が停滞しようとしている。このまま摩擦が続けば、世界経済は収束してしまうかもしれない。日本は両国を取り持ち、自由貿易を推進していくべきだろう。自国の産業を保護しようとすると、経済は閉じてしまう。過保護に育てられた子供は、弱く、外に出られなくなってしまう。

 

アメリカの学生は借金をして学費を捻出するから必死で勉強する。

日本の政府支出における教育関連の支出割合はOECD加盟国のの中で、下から2番目である。要するに先進国の中で日本は政府が教育に金を割いていない。

また、日本は4月入学なので、世界的な9月入学とのずれがあり、優秀な留学生が入りずらい環境にある。それは日本から海外への留学生にも弊害となる。ほんとうは9月入学へのすみやかな変更が必要なのだ。

日本の大学教育の水準をあげるためには、門戸を広くして卒業することを難しくしたり、授業を面白くする為に、生徒が教官を評価するようにしたりと、教育改革が急務である。英語の学力を上げさせる為、授業を英語で行ったり、TOEFLで100点をとらないと企業が面接を受けないようにするなど、インセンティブを設けないと、学生は怠けてしまう。

アメリカの大学は教育ローンを組んで、自分で学費を払うので必死で勉強する。

 

給与を上げたいのなら、他の人との差異が必要。

今後、日本は労働人口が減る。2030年までに800万人も人手不足になると言われている。仕事を選ばなければ食うのに困ることはない。ただ、給料をたくさんもらいたいのであれば、他の人との違いを見せつける特殊能力を身に着け、自分に付加価値をつけなくてはいけない。

 

メディアリテラシーをあげる

日本のポピュリズムはメディアが先導している側面がある。日露戦争の時もメディアが煽ったことにより、国民は日本が圧勝したと勘違いした。実際は引き分けに近い辛勝だったのだが…。メディアは国民を喜ばせたり、不安にさせたりと情報を盛る。関心を惹かせ、観てもらう事で商売が成り立つ。

それにのっかってしまうと必要以上の不安や熱狂に、右往左往することになる。様々な情報に触れ、視野を広げる。情報を自分なりに冷静に分析するメディアリテラシーが今後は必要になる。