べニス公国の将軍が自分を憎んでいる家来の策略にはまって、妻の不貞を疑ってしまい、破綻していくおはなし。
あまりに有名な作品なので感想を書くのも憚れるが、印象に残ったセリフと共にこの作品の凄さを紹介したいと思う。
最も注目する人物はオセローを陥れていく家来のイアーゴーだ。彼のオセローへの憎しみから来る策略によって、ストーリーは進んでいく。彼自身が脚本家なのだ。その策謀はまさに悪魔のように細心で、天使のように大胆。
イアーゴーという人物の意志の強さ、この策謀を完遂させるという、強い意気込みを感じさせる。使いたくなるような、かっこいいセリフだ。
このセリフはオセローに大事な一人娘デズデモーナをとられ、落ち込んでいる議員のブラバンショーを慰めようと、公爵が言ったセリフ。
実際にはブラバンショーに
などと返されてしまうのだが、公爵の深い知性を感じさせる名言だと思う。
イアーゴーがローダリーゴと共に悪事を遂行しようとする不気味さ、何が起こるのか、という期待、不安を募らせるセリフ。ある意味、滅茶苦茶ハードルをあげているともいえる。
このセリフは普通なのだが、使うタイミングが絶妙なのだ。キャシオーを陥れるために、オセローにキャシオーの失敗を誇張して吹聴するのだが、かばうセリフもいれることで自分の人徳も高め、セリフ全体に真実味を持たせている。こういう人いるよなーと思わせる。さんざんその人の悪口を言っといて、「まあ悪い人じゃないんだけどねー」みたいな
自分からキャシオーを追い込みオセローの信頼をなくさせておいて、キャシオーにこのような親身なセリフを吐き、信頼させる。
酒で失敗した時に使ってみたいセリフだ。
男には耳の痛いセリフだ。
まさに真実…
まさに真実。これを悪役のイアーゴーが言う凄さ、恐ろしさ。
この他にも多数の名セリフ、名言が、これでもかというぐらいにある。こうして書き出して見ると、いかにイアーゴーが核心をついたことをいうかが分かる。それによって騙されてしまった、オセローやキャシオー、デズデモナの気持ちも分かる。イアーゴーは知性とウィットに富んでいて、ユーモアのセンスもある。まさに悪魔、そして、それはシェークスピアそのもの。