この本は人類がどのように生まれ、その中でも、今の我々の種、ホモサピエンスが世界に拡散し栄えていったかが書かれている。
大きな構成は
第1章 アフリカでの人類の誕生
第2章 ホモサピエンスがいかに世界へと拡散していったか
第3章 日本人の成立史
まず、第一前提として、我々人類はどこからきたのか。
現在は、DNA解析、化石の発掘などから、アフリカを起源とする学説が有力である。
そして、現在地球上に生き残っている人間は、ホモサピエンス一種類のみである。
世界中のどんな人種もホモサピエンスである。
最初の人類がチンパンジーとの祖先から枝分かれしたのが約700万年前。
そこからホモサピエンスに至るまで多種多様な人類が存在していた。
生命の木は一本であり、そこから枝分かれして、そのうちの実をつけているものだけが、今生き残っている種。
どこかで途絶えてしまった枝もたくさんある。
印象に残った部分に付箋を貼っていったら、第1章に集中してしまった。
自分は類人猿からホモサピエンスに至る過程に、特に興味があるようだ。
印象に残った学説…
◎食料供給仮説
メスに食べ物をプレゼントすることで、そのメスが交尾を受け入れる。
食べ物を持って帰るために、前足は自由にして、後ろ足だけで歩くようになった。
こうして4足歩行から2足歩行に進化した、という学説があるそうだ。
腕力の強いオスから優しくて甲斐性のあるオスがモテる、という社会システムに移行した、という説。
これは証明には至ってないそうだが、今の世にも通じるような、面白い学説だと思う。
◎石器の使用と脳の肥大化
現在発見されている、最古の石器は250万年前のもの。
石器の使用が、食べ物の咀嚼をしやすくさせ、肉食を加速させた。
このことが脳の肥大化に、関わっているのではないかと考えられている。
実際、石器の使用時期と、脳の肥大化の時期が同じだそうだ。
学説の一つに、咀嚼が楽になって、顎の筋肉が弱くなったことにより、頭骨が解放されたという説もある。
チンパンジーや犬には正常に働いている顎の筋肉を作るミオシンという遺伝子が、人間では働いていないという研究結果がある。
◎人類の進化は複雑
4万年前頃には、デニソワ人、ネアンデルタール人、現生人類が共存していた可能性がある。
DNAの解析からホモサピエンスとそのほかの近縁種との交雑があったことも明らかになっている。
- 対立する多地域進化説とアフリカ起源説
・多地域進化説
…アフリカを出発した原人はそれぞれの地域で進化し、独自に新人になった
・アフリカ起源説
…アフリカを出発した原人のなかでホモサピエンスのみが世界に広がって生き残っていった。
20世紀末までは『多地域進化説』が有力だったが、DNA解析、人骨の化石の調査により、『アフリカ起源説』が有力になっているそうだ。
しかし、ネアンデルータール人との交雑の痕跡も確認されていることから、多地域進化説も再注目になっている。
◎表彰思考能力
ホモサピエンスが栄えた原因の一つに表彰思考能力がが考えられている。
これは頭のなかに何かをイメージするということ。
2万年前のフランス・ラスコー洞窟の壁画。
7万5千年前には、南アフリカ、ブランボス洞窟で見つかった網目状の幾何模様が刻まれた土片がある。これが現在発見されている最古のもの。
アフリカで得た表彰思考能力が世界に拡散し、あらゆる発明品を生んでいったと考えられている。
感想
自分は人類の進化に興味がある。単純に自分のルーツが知りたい、というのがある。
あとはまだまだ、未開の分野という楽しさもあると思う。証明に至っていない、色々な学説に面白さとロマンを感じる。今後も定説をひっくりかえすような新たな発見があるかもしれない。