『幸福論』 アラン著

(1いらだつこと、より) ほんとうの体操というのは、ギリシャ人のよく知るとおり、正しい理性によってからだの動きを支配することである。 アランは脳と体の相関関係を指摘している。いらだちや怒りなどの情念は体の不具合からくることがあるから、冷静に…

脳が変わる考え方 茂木健一郎著

2010年に書かれた著作。茂木さんは日本の状況をかなり憂えている。学校も企業も、チャレンジ精神を失い、失敗を恐れ保守的な人たちばかり作られてしまう。基本的にこの本はインターネットがもたらした経済の変化。それに伴い、必要とされる人間が本質的に変…

映画『主戦場』を見て

日韓の慰安婦問題。 少女像や賠償問題で未だに政治の論争の一つになっており、解決の糸口が見えない。 この映画は日本軍が慰安所を作るにあたり、軍の強制があったとする側と、なかったとする側の論客の主張を、監督との問答形式で羅列していく。 なかったと…

ナショナリストたちへ

皆が理想郷を思い描いている。 確かに、あなたたちが言うように日本の文化や伝統がすたれていく、忘れられていくのを憂える気持ちも分からなくない。日本は島国で、多民族の流入が大陸の人達に比べたら少なかったと思われるから。より、ガラパゴス諸島のよう…

慰安婦と戦場の性 秦郁彦著

戦争は悲劇。それ以上でも、以下でもない。これがこの本を読んでの感想だ。 著者の秦さんは慰安婦問題を歴史という縦軸、世界という横軸を使い、数字やデータで検証している。慰安婦問題は、個にスポットを当てると感情論に流されやすい。この本を読んで、慰…

従軍慰安婦 吉見義明著

1991年の12月に三人の韓国の元慰安婦たちが謝罪と補償を求めて声をあげた。 しかし、日本政府の対応は記録として残されていない、という冷たいものであった。 92年に吉見さんは防衛庁防衛研究所図書館から、戦時中の従軍慰安婦に軍の関与があったとする記録…

『道をひらく』松下幸之助著

この本は凄い。日本語が読める人すべての人が読んだ方がいい、と思ったぐらい凄い。勿論、松下幸之助のことは偉人として知っていたが、ここまで凄い、著書を残していたとは思わなかった。これを日本の小学校の道徳の教科書に使えばいいのに、と思うくらい、…

『日本会議の正体』 青木理著

日本会議の成り立ちや基本的な思想を、やや批判的な目で伝えてくれる。ただ闇雲に批判するのではなく、日本会議の人達の主張もきちんと伝えている。 思想の母体は生長の家の創始者、谷口雅春。そして神社本庁。 明治憲法の復活等、過激な思想を持っている人…

「慰安婦」問題とはなんだったのか 大沼保昭著

この本は慰安婦問題の解決策として、95年に設立された、アジア女性基金の理事を務めた著者が、基金の設立の過程、問題点を中心に抽出し、慰安婦問題の概要を伝える。 アジア女性基金は慰安婦問題を解決する為に設立された財団法人で、日本国政府からの出資金…

人は皆そこそこに善良で、そこそこに狡い。

人は皆そこそこに善良で、そこそこに狡い。 これは、出口治明さんのうけうりだが、本当にそう思う。 付き合いが、長くなればなるほど、それだけ両方の部分が見えてくる。 交互に相手の善良さと狡さを見れればいいが、狡さの部分だけを、ジッと見ていると、そ…

自分の半径5mから日本の未来を考えてみよう会議 出口治明 島澤論 著

この本は日本の様々な問題を歴史や世界情勢、データを使って分析し、まずは自分の身近な事から行動を変えて、解決していきましょう、という本である。 明治維新は鎖国で失われた200年の遅れを取り戻す運動 安土桃山時代は、銀の産出量が豊富で、日本墮GDPの…

共産党宣言 マルクス エンゲルス著

以前からマルクスの著作は挑戦しようしようと思っていた。『資本論』を数回チャレンジも、言っていることの難解さと長さに挫折すること数回。 『ナニワ金融道』の作者であり、マルクス信望者の青木雄二先生の著作から察するに、労働者は資本家に搾取されてい…

知らないと恥をかく世界の大問題 池上彰著

フリージャーナリストの池上さんが今世界で起こっている問題を分かりやすく解説してくれる。 長くジャーナリスト生活を送っている池上さんから見ても、ここ10年で世界情勢は大きく変化したそうだ。冷戦が終結し、アメリカとロシアの2強がくずれ、変わって中…

宗教と哲学 出口治明著

出口さんが何とも凄い本を書いてくれた。古今東西の宗教と哲学を網羅した百科事典。いや、百科事典ほど、細かく書いているわけではない。 世界史に深い造詣もつ出口さんが、腕のいい植木職人のごとくバッサバッサと枝葉末節を切って幹だけを残し、その当時の…

フロー体験入門 ミハイ・チクセントミハイ著

この本はフロー状態とは何か、またそのフローの状態になる為にはどのような態度が必要か、またフロー状態をどのような形で用いるのが適切なのかを説いている。そして古今東西の学者や作家たち、市井の人達の言葉を交えてフロー体験の提案をうながしている。 …

世界の未来

この本はフランスの学者エマニュエル・トッドを中心に世界の4人の識者が、現在のグローバル化への反動としてのポピュリズムの台頭、民主主義の行き詰まりの問題を語る。 中等教育と高等教育の発展は階層化された社会を作った。トッド 識字率の広がりは人間が…

新型コロナについて思うこと

今、新型コロナを巡り、世界中が右往左往している。 非常に感染力が強く、重篤化すると死に至る。超情報化社会なので、フェイクニュースが世界を飛び回り、本当の情報は中々見つからない。特効薬が見つかるまでは収まらないだろう。 人、物、金の流れは滞り…

ファクトフルネス

この本を一言でいえば『無知の知』である。著者はまず、現在の世界で起きていることの統計をクイズ形式で読者に問う。実際に医者や、マスコミ、大学生など、世界中の知識人と言われている人たちにそのクイズを訪ねてまわったという。三択問題なのでチンパン…

ある男

ある男のつぶやきくそ面白くもない世の中。結局、声のうるさいやつの意見が通る。か細い、気の聞いた意見など通らない。間違っていても、狂っていても、大声で叫ぶやつのいうことは聞かれる。 結局、皆、自分が認められたいだけ。一目置かれたい。凄いと思わ…

暴力から逃れるための15章 キャヴィン・ディ・ベッカー

「自分の直感を信じよ」 著者 キャヴィン・ディ・ベッカー 暴力問題の専門家。これまで三度にわたり米国大統領の指名を受け、要人警護のための政策立案に携わる。国際的なスターや企業、司法機関に助言をすると同時にドメスティックバイオレンスやストーキン…

ピープルスキル ロバート・ボルトン著

この本は人間関係をうまくやるためのhow to本だ。 著者は企業や学校でコミュニケーションスキルを教える経営コンサルタント。 とはいっても、人心掌握術や人を操るといった、立身出世の為の、戦略術ではなく。あくまで人との関係を円滑に進ませるノウハウを…

いやな気分よ、さようなら デビッド・D・バーンズ

この本はうつ病の治療本である。認知療法といって自分の考え方の歪みを気づかせ、それにより病気を治していくというものだ。この本を読んだだけで病気が改善され、その後も再発することなく、元気に過ごしている人も多勢いるらしい。うつ病のバイブルと呼ば…

第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい マルコム・グラッドウェル著

この本は直感(著者は第1感と呼ぶ)の有用性を説いた本だ。高度な理論より直感の方が正しかったりすることがある。しかし、直感を言葉と言う理論で説明するのは難しい。この本では日常のささいな出来事を通して、直感とは何か、ということを問いかけている。…

影響力の武器 ロバート・B・チャルディーニ著

カチッ、サー 人間、生物にはある出来事にカチッと反応し、サーと答える自動的反応がある。それはたった一つの特徴によって引き起こされる傾向がある。 この反応にはメリットデメリットがある。 メリットとしては貴重な時間やエネルギー精神能力の節約になる…

『人生の教養が身につく名言集』出口治明著

「巨人の肩に乗っているから遠くを見ることができる―」ベルナール・ド・シャルル著 過去の偉人達の残した研究結果などを『巨人』にたとえ、その力を借りればより広く、より遠く、より深くまで世界を見ることができる。 この言葉から始まり、ライフネット生命…

働く君に伝えたい「お金」の教養 出口治明著

お金に対する考え方を20代への若者への講義形式でライフネット生命の創業者、出口さんが分かりやすく解説してくれる。 数字、ファクト、ロジックで自分の頭で考える。 この本で出口さんが基本的に伝えたいことは、自分の頭で考える。情報を鵜呑みにしない。…

知的生産術 出口治明著

日本は製造業主体からサービス業主体へと変わった。そして、労働人口は減少していく。だから、今までどおりの長時間労働を強いた工場モデルではなく、より短時間でアイデアを出し生産性を上げて行かなくてはいけない。 その為には自分の頭で、腹落ちするまで…

自分の半径5mから日本の未来を考えてみよう会議 出口治明 島澤論 著

この本は日本の様々な問題を歴史や世界情勢、データを使って分析し、まずは自分の身近な事から行動を変えて、解決していきましょう、という本である。 明治維新は鎖国で失われた200年の遅れを取り戻す運動 安土桃山時代は、銀の産出量が豊富で、日本墮GDPの…

宗教と哲学 出口治明著

出口さんが何とも凄い本を書いてくれた。古今東西の宗教と哲学を網羅した百科事典。いや、百科事典ほど、細かく書いているわけではない。 世界史に深い造詣もつ出口さんが、腕のいい植木職人のごとくバッサバッサと枝葉末節を切って幹だけを残し、その当時の…

オセロー 小田島雄志訳

べニス公国の将軍が自分を憎んでいる家来の策略にはまって、妻の不貞を疑ってしまい、破綻していくおはなし。 あまりに有名な作品なので感想を書くのも憚れるが、印象に残ったセリフと共にこの作品の凄さを紹介したいと思う。 最も注目する人物はオセローを…