2020-01-01から1年間の記事一覧

『人生の教養が身につく名言集』出口治明著

●「巨人の肩に乗っているから遠くを見ることができる―」 ベルナール・ド・シャルル著 過去の偉人達の残した研究結果などを『巨人』にたとえ、その力を借りれば、より広く、より遠く、より深くまで世界を見ることができる。 この言葉から始まり、ライフネット…

働く君に伝えたい「お金」の教養 出口治明著

お金に対する考え方を20代への若者への講義形式でライフネット生命の創業者、出口さんが分かりやすく解説してくれる。 数字、ファクト、ロジックを使い自分の頭で考える。 この本で出口さんが基本的に伝えたいことは、自分の頭で考える。情報を鵜呑みにしな…

映画『グリーンブック』

2019年度アカデミー作品賞受賞作品。 すでに富と名声を得ている黒人の天才ピアニスト、ドク。 キャバレーのボディガードの職を失ったイタリア系移民の白人、トニー。 ドクはトニーを運転手として雇い、黒人差別の色濃いアメリカ南部へコンサートツアーに旅立…

知的生産術 出口治明著

日本は製造業主体からサービス業主体へと変わった。 そして、労働人口は減少していく。だから、今までどおりの長時間労働を強いた工場モデルではなく、より短時間でアイデアを出し生産性を上げて行かなくてはいけない。 その為には自分の頭で、腹落ちするま…

じいさんばあさん 森鴎外著

庭先、凛とした姿勢で木刀を振るじいさんの伊織。 ふう、と息をつき縁側に座ると、ばあさんのるんが出てきてうちわを扇ぐ。二人は恋人のように仲がいい。近所のひとの話では、兄妹だろう、という噂もある。 なぜかと言えば、仲はいいのに礼儀が良く、夫婦に…

高瀬船 森鴎外著

高校生の時に読んで以来、2回目。 喜助という30前後の罪人を正兵衛と言う男が船頭となって、高瀬川を下り、島まで護送しながらその身の上話を聞くというストーリー。 喜助は大変貧しく育ち、弟と二人肩を寄せ合い生きていた。 しかし、弟が重い病気を患い、…

山椒大夫 森鴎外著

父に会いに行く旅の途中に人買いにさらわれ、母と生き別れ、奴隷にさせられた姉、安寿と弟、厨子王の物語。 安寿は厨子王を逃がし、見届けた後、自ら命を絶つ。 厨子王は逃亡に成功して出世し、母との再会を果たす。 なかなかに悲しい話だ。 特に人買いに巧…

最後の一句 森鴎外著

横領の罪で斬罪にさせられることになった太郎兵衛。 父の命を救う為に、16歳の長女いちが自分と妹、弟達の命と引き換えに、父の斬罪を取り下げるよう奉行所に懇願する話。 西町奉行の佐佐は前任者から引き継いだ、この案件の処刑手続きが終わり、ほっと重荷…

漁港の肉子ちゃん 西加奈子著

ああ、何といえばいいだろう。とにかく、僕はこの作家、西さんが好きだ。 たぶん、ずっと一緒にいていたいぐらい好き。 何か理屈で説明できないぐらい好きな作家だ。 あえて、突き放した目で見てみれば、別に文章が特別うまいわけでもなく、美しい文体という…

『進化しすぎた脳』池谷裕二著

テレビでもお馴染みの薬学博士の池谷先生がニューヨークの高校生を相手に脳の講義を行った時の内容をまとめた本。4回の講義に分けられ、素人にも分かりやすく脳のメカニズムや不思議さを教えてくれる。 特に印象に残った点を列挙してみる。 脳の機能は局在化…

『脳には妙なクセがある』池谷裕二著

脳研究者で薬学博士でもある池谷先生の、脳についての面白本。 先生は「生きる意味を考えるプロセスが生きる意味」と考えているそうだ。そして、どうせならその探求をどうせなら楽しく笑顔で問い続けたいと願っている。 この本はそんな思いから生まれたそう…

『すぐやる脳のつくり方』茂木健一郎著

行動する事の大事さ。 そのためには考え過ぎない。脳の抑制をやめる。とにかくやってみる。 自分自身が決めた決まりには脳はストレスを感じない。 だから、自分自身の脳に負荷をかけてみるのは良いことだそうだ。 時間の制限や、無茶ぶりなど。色々なタスク…

『幸福論』 アラン著

(1いらだつこと、より) ほんとうの体操というのは、ギリシャ人のよく知るとおり、正しい理性によってからだの動きを支配することである。 アランは脳と体の相関関係を指摘している。いらだちや怒りなどの情念は体の不具合からくることがあるから、冷静に…

脳が変わる考え方 茂木健一郎著

2010年に書かれた著作。茂木さんは日本の状況をかなり憂えている。学校も企業も、チャレンジ精神を失い、失敗を恐れ保守的な人たちばかり作られてしまう。基本的にこの本はインターネットがもたらした経済の変化。それに伴い、必要とされる人間が本質的に変…

映画『主戦場』を見て

日韓の慰安婦問題。 少女像や賠償問題で未だに政治の論争の一つになっており、解決の糸口が見えない。 この映画は日本軍が慰安所を作るにあたり、軍の強制があったとする側と、なかったとする側の論客の主張を、監督との問答形式で羅列していく。 なかったと…

ナショナリストたちへ

皆が理想郷を思い描いている。 確かに、あなたたちが言うように日本の文化や伝統がすたれていく、忘れられていくのを憂える気持ちも分からなくない。日本は島国で、多民族の流入が大陸の人達に比べたら少なかったと思われるから。より、ガラパゴス諸島のよう…

慰安婦と戦場の性 秦郁彦著

戦争は悲劇。それ以上でも、以下でもない。これがこの本を読んでの感想だ。 著者の秦さんは慰安婦問題を歴史という縦軸、世界という横軸を使い、数字やデータで検証している。慰安婦問題は、個にスポットを当てると感情論に流されやすい。この本を読んで、慰…

従軍慰安婦 吉見義明著

1991年の12月に三人の韓国の元慰安婦たちが謝罪と補償を求めて声をあげた。 しかし、日本政府の対応は記録として残されていない、という冷たいものであった。 92年に吉見さんは防衛庁防衛研究所図書館から、戦時中の従軍慰安婦に軍の関与があったとする記録…

『道をひらく』松下幸之助著

この本は凄い。日本語が読める人すべての人が読んだ方がいい、と思ったぐらい凄い。勿論、松下幸之助のことは偉人として知っていたが、ここまで凄い、著書を残していたとは思わなかった。これを日本の小学校の道徳の教科書に使えばいいのに、と思うくらい、…

『日本会議の正体』 青木理著

日本会議の成り立ちや基本的な思想を、やや批判的な目で伝えてくれる。ただ闇雲に批判するのではなく、日本会議の人達の主張もきちんと伝えている。 思想の母体は生長の家の創始者、谷口雅春。そして神社本庁。 明治憲法の復活等、過激な思想を持っている人…

「慰安婦」問題とはなんだったのか 大沼保昭著

この本は慰安婦問題の解決策として、95年に設立された、アジア女性基金の理事を務めた著者が、基金の設立の過程、問題点を中心に抽出し、慰安婦問題の概要を伝える。 アジア女性基金は慰安婦問題を解決する為に設立された財団法人で、日本国政府からの出資金…

人は皆そこそこに善良で、そこそこに狡い。

人は皆そこそこに善良で、そこそこに狡い。 これは、出口治明さんのうけうりだが、本当にそう思う。 付き合いが、長くなればなるほど、それだけ両方の部分が見えてくる。 交互に相手の善良さと狡さを見れればいいが、狡さの部分だけを、ジッと見ていると、そ…

自分の半径5mから日本の未来を考えてみよう会議 出口治明 島澤論 著

この本は日本の様々な問題を歴史や世界情勢、データを使って分析し、まずは自分の身近な事から行動を変えて、解決していきましょう、という本である。 明治維新は鎖国で失われた200年の遅れを取り戻す運動 安土桃山時代は、銀の産出量が豊富で、日本墮GDPの…

共産党宣言 マルクス エンゲルス著

以前からマルクスの著作は挑戦しようしようと思っていた。『資本論』を数回チャレンジも、言っていることの難解さと長さに挫折すること数回。 『ナニワ金融道』の作者であり、マルクス信望者の青木雄二先生の著作から察するに、労働者は資本家に搾取されてい…

知らないと恥をかく世界の大問題 池上彰著

フリージャーナリストの池上さんが今世界で起こっている問題を分かりやすく解説してくれる。 長くジャーナリスト生活を送っている池上さんから見ても、ここ10年で世界情勢は大きく変化したそうだ。冷戦が終結し、アメリカとロシアの2強がくずれ、変わって中…

宗教と哲学 出口治明著

出口さんが何とも凄い本を書いてくれた。古今東西の宗教と哲学を網羅した百科事典。いや、百科事典ほど、細かく書いているわけではない。 世界史に深い造詣もつ出口さんが、腕のいい植木職人のごとくバッサバッサと枝葉末節を切って幹だけを残し、その当時の…

フロー体験入門 ミハイ・チクセントミハイ著

この本はフロー状態とは何か、またそのフローの状態になる為にはどのような態度が必要か、またフロー状態をどのような形で用いるのが適切なのかを説いている。そして古今東西の学者や作家たち、市井の人達の言葉を交えてフロー体験の提案をうながしている。 …

世界の未来

この本はフランスの学者エマニュエル・トッドを中心に世界の4人の識者が、現在のグローバル化への反動としてのポピュリズムの台頭、民主主義の行き詰まりの問題を語る。 中等教育と高等教育の発展は階層化された社会を作った。トッド 識字率の広がりは人間が…

新型コロナについて思うこと

今、新型コロナを巡り、世界中が右往左往している。 非常に感染力が強く、重篤化すると死に至る。超情報化社会なので、フェイクニュースが世界を飛び回り、本当の情報は中々見つからない。特効薬が見つかるまでは収まらないだろう。 人、物、金の流れは滞り…

ファクトフルネス

この本を一言でいえば『無知の知』である。著者はまず、現在の世界で起きていることの統計をクイズ形式で読者に問う。実際に医者や、マスコミ、大学生など、世界中の知識人と言われている人たちにそのクイズを訪ねてまわったという。三択問題なのでチンパン…